天真パパとママは人の気配がなくなるのを待って草陰から出てきました。
さっき、のびていた男たちも体をひきづりながら逃げて行ってしまったようです。
「それにしても…びっくりだわね。まさかコテンマが未来に来てたなんて。」
「ああ。あの井戸…一体どうなってんだ?ま、けどこれで行き先も分かったし戻ってくるのも分かっている。先に帰ろうぜ。」
「うん…ねえ、でももう戻ったらコテンマにはここに来ないようにさせないとダメよね?どう言ったら…」
のんびりしているパパに比べてママは少し心配顔です。
「ん?気にしなくていいんじゃねえか?あの成長した小天真見ただろ?すっかり忘れてるようだったじゃねえか。きっと自然と来なくなって忘れたんだろ。」
「でも…」
「…じゃ…もうお兄ちゃんになるんだからママを守れって言っとくか。」
「!!!!天真くん、気づいていたの?」
「決まってるだろ。もう、井戸に飛び込むなんて無茶すんなよ。今回はあの状況だから許したけどさ」
「ん!ごめんね。…じゃ、早く帰ってお風呂とご飯の支度して待ってましょ」
そういう事に決まってパパとママは一足先に帰って行きました。
一方その頃、お兄ちゃんにおぶわれてアカネお姉ちゃんの家に着いたコテンマは唖然としていました。
だって…この家は…
「ほらよ。隣だからここまでな。坊主、無茶すんなよ」
そう言ってお兄ちゃんはコテンマを下ろすと隣の家に入って行きました。
「おーい!!こみきー」
家の中に入っていくお兄ちゃんの声は外まで聞こえていました。
(俺…んち?)
5歳のコテンマには状況がよくわかりません。
とっても不思議な違和感があるのです。
そのまま手を引かれお姉ちゃんの家に入りました。
「手当てするから、そこのソファに座って」
通されたお部屋もお隣の家にそっくりです。
ピアノのイスの上には…白いクマのぬいぐるみ。
そっと手に取ると眉毛が取れててマジックでヒゲが描いてありました。
(これって…)
「あー、そのぬいぐるみ、見つけた?お姉ちゃんの大事なお友達。…隣の小天真くん…あのお兄ちゃんもコテンマって名前なんだけどね、昔イタズラして描いちゃったの。でもね、お姉ちゃんが泣いたら一生懸命洗ってくれて。
眉毛は取れちゃったけど、ヒゲは少しそれでも薄くなったのよ。だけど…お姉ちゃんのお友達だからお気に入りのピアノにいつも座ってもらっているの」
「…うん…ごめんなさい…」
「なんでコテンマくんが謝るの?あはは、へんなコテンマくん、はい、バンソウコウ、ペッタンコ!っと。」
お姉ちゃんは笑ってます。
コテンマは小さくて言葉では上手く伝えられませんでした。
けれど、アカネお姉ちゃんに向かって言いました。
「お姉ちゃん、お姉ちゃんのことは俺が絶対守るから」
☆
その夜…
いつものようにパパと一緒にお風呂に入りました。
もうすぐ、お兄ちゃんになる!
そんなビッグニュースを教えてもらいました。
危ないから井戸には近寄っちゃダメだとも。
コテンマは少し考えて…
「ウン。分かった」
そう、答えました。

そして…
お風呂で一生懸命洗いました。
体を?
いいえ。
「あ。眉毛取れた」
おしまい。