今日もお日様はキラキラサンサン
とってもいいお天気です。
お洗濯物もよく乾くでしょう。
ここはどこにでもあるような閑静な住宅街。
どこにでも居そうなちょっとだけ可愛い奥さんと
どこにでも居そうなちょっとだけヤンチャな旦那さんの間には
今まで聞いたことがない特別な恋をして生まれた、
どこにでも居そうなイラズラ坊主の男の子がいました。
その男の子の名前は森村小天真。
チューリップ幼稚園の黄色チューリップ組さんです。
近所では結構有名で…何がって…それはね…
「コラ〜〜!!コテンマ!また、隣のアカネちゃん泣かせて!待ちなさい!!」
小さな一戸建ての小さな庭ではいっぱいの洗濯物を干しながらママが怒鳴っています。
息子のコテンマは近所でも有名なワンパク。
ママの追撃をヒラリとかわし
「やーだよ。捕まったらゲンコツするだろ。アカネは泣き虫なんだよ。俺、悪いことしてねーもん」
っと、アッカンベーをしています。
「むっきーーっ!誰のせいで謝って歩いてると思ってんの!こんなに服、汚すしぃぃぃ!!おやつ抜きにするわよ!」
「ふふーーんだ!勝手に取っちゃうもん」
「なんですって!」
ママは一層顔を赤くして怒り出しました。
実はこの光景は日常茶飯事。
ご近所さんはまた始まったと知らぬ顔です。
たまに、コテンマが熱を出して寝込んでいるとその声が聞こえないので反対に心配されるほどです。
「どうしたんだ、今度は、ほい、コテンマ捕獲」
「放せ!!くそったれ」
「誰がくそったれだ!ゲンコ、ぐりぐり」
「いってええええ」

奥からパパが出てきました。
逃げようとしたコテンマをすかさず捕まえて脇に抱えてます。
さすがにパパには勝てないようでコテンマは涙目で頭をさすっています。
けれど、負けず嫌いの性格のせいか、涙は出しませんでした。
パパの天真も昔はかなりヤンチャだったようで、コテンマのヤンチャにはかなり甘いところがあります。
と…いうか、本人は今もかなりのヤンチャぶり。
ママとは大恋愛の末、学生デキ婚をしたパパです。
背が高くて黙っていればかなりの美青年なのに口が悪い上にケンカが強く昔からこの街では名前を知らない人がいないくらいに有名でした。
そんな、天真とコテンマをママは「手のかかる子供が2人」と称してましたが、それはそれは仲のいい幸せな家族です。
「天真くん、聞いてよ。またコテンマったら隣のアカネちゃん泣かせたらしくて。アカネちゃんの大事にしてたぬいぐるみにマジックでヒゲ書いたんだって…はぁ…まったく…そっくり」
「ああ?誰にソックリだって?お前だろ。コテンマ、お前本当にそんなことしたのか?」
「・・・・・・・」
コテンマは脇に抱えられながらダンマリ。
けれど、そのうちコクンとうなずきました。
「あーあ。仕方ねえ、コテンマ、お前そのぬいぐるみ洗って直せ。いいか?大事にしていたんだろう?アカネちゃんは。そんなのにイタズラするなんて絶対ダメだ。女泣かせてどうすんだ。泣かすなら男にしろ」
「天真くん!!男だって泣かせたらダメでしょう!もう!」
「げ。何で俺まで怒られるんだ?コテンマ、ママの説教長いから先にアカネちゃんのとこ謝りにいくぞ。パパも行くからさ」
そう言って二人はママから逃げて行きました。
はぁ〜っとため息をつきながらママは言いました。
「ワンパク2人のためにお風呂でも沸かしといてやるか」
その夜。
コテンマはパパとお風呂に入りました。
いつも聞かせてくれるママとのお話。
パパとママは異世界に飛ばされてそこで好きになったそうです。
ずっと前から友達だったけど異世界で本当に大事な宝になったって。
コテンマにはよく分からなかったけど、そこの世界には大事な友達もいっぱい出来て、怨霊っていう怪物をいっぱい倒したそうです。
その話をしてくれるパパの顔は本当にいつも楽しそうです。
「コテンマ、いいか?本当に大事なもんは自分で見つけなきゃ分からない。好きな女もそうだぜ。好きな女は守るもんだ。泣かせる男は最低なんだぜ。いいか?覚えておけよ」
天真パパは湯船でコテンマを抱っこしながらそう言いました。
コテンマはホッペをりんご色に染めてウンとうなずきました。
それからしばらくしてからのことです。
天真パパはママから相談をうけました。
「この頃…コテンマがどこで遊んでくるのか…ちょっと目を離すと居なくなるの。帰ってくると服はいつも泥だらけ。近所で遊んでるんじゃないようで。あの子はまだ幼稚園だし。」
「ちゃんとメシには帰ってくるんだろ?心配ねぇだろ」
「でも!!なんか、苔とかすれた跡とか。公園にも居ないし、ねえ、明日の日曜、一緒にコテンマつけてよ。私1人だと不安で」
「ま、いいけど」
というわけで、パパとママはコテンマを尾行することにしました。
いつもの公園を抜けて、遊歩道に入っていきます。
「あれ?ここ」
「あ〜、私たちの高校の通学路だね、懐かしい」
のんきに話しているとコテンマは脇に入りました。
そこは…
森林公園を抜けた先には古井戸がありました。
「!ここは…あ!」
パパとママは気が付きました。
あの日、自分たちが異世界に飛ばされた場所だという事を。
そして…井戸の脇にはコテンマ…
「ダメ!!待って!!」「待て!コテンマ!」
その声を聞いたか聞こえなかったのか…
コテンマの姿は井戸の中に消えていきました。