パパとママの恋物語【ママ編】2

◇新生活スタート。2人の間に3つの約束事を作るならどんな内容にする?

共同生活を始めるにあたり、まず最初に必要なのはルール決めだ。
お互いまだ学生で、就職活動も始まる今、
アルバイトにばかり時間を割いてはいられない。
2人でいるからこそできる節約を考えるのも、楽しかった。

@食事はなるべく2人で取る。(食費の節約のため)

Aお風呂も時間をまとめて入る。(光熱費節約のため)

Bお互いの部屋には入らない。

一緒に暮らしてみてはじめてわかったことは、
天真くんは意外ときちんとしてるということ。
自分の部屋がどうなってるかは知らないけれど、
共有スペースは気づいたら掃除してくれたり、
洗剤が切れそうになっていたら買い足しておいてくれたり。
(当然スーパーの特売を狙って)、
さすが、普段から周りに気を配ってる人なだけある、と感心させられた。

それと・・・一緒にいる時間がまったく苦にならない。
馴染む、というのだろうか。
こんなに気を使わずにすむものなのかと、不思議に思ってしまう。
自室にいる時間より、リビングで二人でくつろいでいる時間の方が長かった。
天真くんもそんな二人の時間を、
心地よいと思っている様子なのが・・・嬉しかった。


◇同居生活における家事はどんな風に分担しますか?

家事の分担はとくに決めなかった。
こういうことは生活していくにつれ自然と出てくるものだ。
料理は二人ともやるけど、私の方がバリエーションが豊富だし。
掃除も二人でやるけど、高いところは天真くんでないと手が届かない。
得手不得手を互いに補い合っていけるのも、二人暮らしの利点だろう。

ただ・・・

洗濯だけは各自べつべつにした。
天真くんの服を洗ってあげたりするのはまったく問題ないけれど・・・
自分の下着なんかを天真くんの目につくようなところに置くことだけは
徹底して避けた。
"戦友" である自分の、"女" な部分は絶対にみせたくなかった。


◇朝はあなたより1時間早く家を出る予定なんだって。彼に合わせて起きる?

ルールにあったとおり、朝ごはんも一緒に食べるようにした。
天真くんは朝ごはんよりも寝かせてくれと言ってくることもあったけど、
決まりはキマリ。
しつこくどかどかドアを叩き続けていると、
やがて根負けした天真くんが出てきた。

反対に。
私が夜更かしして寝坊しているところに、
天真くんから攻撃がくることもあった。
やたらいい香りがしてきて、おなかがグゥグゥ鳴り出して。
たまらずドアをあけたらそこには、
わざわざ延長コードまで使ってドアの前までトースターを持ってきて、
しゃがみこんでバタートーストを焼いている天真くんの姿があった。
団扇片手にしたり顔の天真くんに、朝から脱力したのは言うまでもない。


◇やけに余裕がある朝だと思えば時計が止まっていました!
慌てた彼が忘れそうになった物は?


「ウッソー!この時計、止まってる!」

つけたテレビに表示された時間と、
壁にかかってる時計とを見比べて、天真くんが叫ぶ。
思っていた時間より、現実世界は40分ばかり先に進んでいたようだ。

「うわ、やべぇ!レポートの提出期限10時なんだよ!」

テレビをみれば、9時半をまわっている。
バイクで行くしかないな、と思っていたら、
案の定メットを手にした天真くんが部屋から飛び出してきた。
ふと、さっきまで朝食をとっていたテーブルの上をみると、
天真くんの財布がそこに取り残されていた。
ブルンブルンというバイクのエンジン音に、今度は私が飛び上がった。

「天真くん、財布忘れてるよっ!」

急いで閉じかけた玄関のドアを押し開け、外に出ようとしたその時、

「うわっ!」
「きゃあっ?!」

ちょうどそこに立っていた天真くんと思い切りぶつかってしまった。

「なんで急に飛び出してくるんだよ、あぶねーだろ!」
「そんなこと言ったって・・・天真くんが財布忘れてるから!」
「俺もそれに気づいて戻ってきたんだよ」
「あ・・・あぁ〜・・・」

差し出された手の上に財布を渡す。

「あわてんぼう。焦りすぎて事故るなよ?」
「・・・どっちがあわてんぼうだよ。裸足だぞ、お前」

指摘されて改めて足元をみてみれば、
スニーカーを履きそこねたかわいそうな足が、
ぺったりと玄関の床を踏みしめていた。

「ばぁーか。お前も気をつけろよ?」

ぽん、と財布で軽く頭を叩かれた。


・・・こんなに必死で追いかけて。
今もこうして天真くんの後姿を見送っている。

こんなに大切に想っているのに。
でも、その想いをけして口にすることはないだろう。

今のこの関係が心地よいから。

けして、失いたくないから。


◇急遽決まった同居生活の事、友達に話す? 話さない?

「付き合ってるわけじゃないけど、同居は誤解されるよね?内緒・・・ね?」

思い切りのよいことをやってしまったあとで、
ふと我にかえるとやっぱり・・・という気持ちがわいてくる。

私が責められてサークルをやめなければならなくなっても、それはかまわない。
でも、天真くんまで責められるのは避けたい。
誤解されるようなことをしてる自覚はあるけれど、
実際のところはなにもないのだから。



続く。

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